リノベーション工事って、
パッと見は「壁を抜いて、窓を付けて、内装を整える」みたいに見えることがあります。
ところが実際は、見た目以上に判断の連続です。
その代表例が、窓の位置。
一見すると、間取りを今っぽく整えるのがメインに見えます。
でも実際に「完成後の間取り図」を作る工程で、一番経験が問われるのは、どこに窓を置くかなんです。

「ここに窓があったら明るくて気持ちいいよね」という発想自体は正しいのですが、窓は穴です。
穴を開けるということは、構造・耐震・断熱・結露・雨仕舞(あまじまい)など、全部に影響します。
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光の入り方(時間帯でどう変わるか)
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風の通り道(通風が成立するか)
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隣家との視線(プライバシーの設計)
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断熱欠損(冬寒く、夏暑くならないか)
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雨仕舞(雨漏りリスクをどう潰すか)

窓は「明るくするための穴」ではなく、
光・風・視線・断熱・耐震・雨仕舞をまとめて決める“スイッチ”です。
さらに日本家屋は、柱や梁の効き方が家ごとに違うので、
「ここに窓を作りたい」と思っても、そもそも壁をどう扱えるかの判断が先に来ます。
これは、この図面を見ただけでは分からないことが多く、現場経験のある大工・設計の知恵がモノを言います。

日本家屋のリノベは、さらに“難易度が一段上”です
特に日本家屋(在来木造)の場合、もう一つ大きなポイントがあります。
たとえば、それは、「この柱、抜いていいの?」などの問題です。
日本家屋は、建て方や年代によって効いている柱が違います。
見た目だけでは判断できないことが多く、経験のある大工・職人でないと見抜けない領域があります。
そして厄介なのは、こういう知見が「教科書で完結しない」こと。
どちらかというと、新築の現場で伝承されてきた実務の勘所なんですよね。
でも今、そもそも日本家屋を新築で建てられる工務店が減っています。
多くの新築住宅は、工場で作られているからです。
つまり、伝承される機会そのものが減っているのです。
これらを踏まえたうえで図面を書いていける工務店、あなたの周りにいらっしゃいますか?

だからこそ、リノベは「実績のある工務店」を選んでください
リノベーションは、金額も大きいですし、工事が始まってから「想定外」が出やすい分野です。
だからこそ、選ぶ基準はシンプルでいいと思っています。
「似た家を、似た工事内容で、ちゃんと納めた経験があるか」
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日本家屋の施工実績があるか
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構造の考え方を説明できるか(言語化できるか)
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“できる/できない”を曖昧にしないか
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窓・断熱・結露・雨仕舞まで含めて提案できるか

↑リノベ対象エリアと既存エリアとの境も、数ある材木の中からマッチするものをチョイス。
リノベは、見た目のセンスも大事ですが、最後に効くのは経験と基本の積み上げです。
「どこに頼んでも同じ」ではありません。
大事な住まいだからこそ、きちんとしたところを選んでくださいね。


